【プロが教える】ローンが残っている状態で家を買い替える方法とは
「新しい家を買いたい。でも今の家のローンをどうしよう」
すでにローンを完済していれば問題ないものの、現在のローンが残っている場合どうすればいいかわからない方が多いと思います。このコラムでは、不動産のプロとして持ち家のローンが残っている家を住み替える選択肢や注意点について説明しますので、是非参考になさって下さい。
<この記事は約8分で読めます>
目次
住み替える際のローンの組み方フローチャート
住み替える際の住宅ローンの組み方は、現在の持ち家の住宅ローンの残額や、経済状況によって変わってきます。
こちらが条件別の住宅ローンの組み方フローチャートです。
上記のチャートの通り状況別のパターンとしては6つあります。
① 現在の持ち家を売却しないで住宅ローンを完済できる場合
現在の持ち家のローンを完済し、完済証明書の取得が完了している場合と、持ち家の残っているローンを貯蓄などで完済できる場合は、通常の住宅ローンで新居を購入可能です。
新居の購入は持ち家のローンが完済できていれば、売却するしないは関係なく希望の物件があればどのタイミングでもOKです。
② 購入前に持ち家を売却し、売却益で持ち家のローンを完済する場合
まず持ち家を売却し、売却によって得たお金と手持ちのお金で持ち家のローンを完済した後、新居のローンを組みます。
売却なしで完済してから購入するパターン①の場合と同じく、新居のローンを組むときには、前の持ち家のローンを完済したことを証明する書面の提出が必要になります。
メリットとデメリットは以下になります。
- 持ち家のローンと新居のローンが二重払いにならない。
- 持ち家のローンが残っている状態で新居を購入するよりも、
手続きが複雑にならないことが多い。
- 持ち家にまだ住んでいる状態で、購入希望者の内覧に
応じなければならない。 - 持ち家を売却してから新居に移り住むまでの間の
仮住まいを確保しなければならない。
③ 売却益でローンを完済し、持ち家の売却と新居の購入を同時にする場合
持ち家のローンを完済する前提なので、新居の住宅ローンの審査には、持ち家分のローンは含まれません。
新居のローン審査を申し込む段階で、まだ持ち家の売却金額が確定していないことが多いです。
このため、売却金額として不動産業者の買取金額を想定します。
買取金額とは不動産業者に直接買い取ってもらう場合の金額のことで、その不動産が売却できる最低価格として試算します。
この買取金額でローンが完済できる試算となれば、このパターンで進めることができます。
持ち家売却と新居購入のお金が動くタイミングが同時なので、ローン残債、自己資金などをきちんと把握し、お金の流れの見通しをつけておくことが重要です。
④ 売却益でローン完済可能で、〇カ月後に持ち家を売却する前提で新居を購入する場合
新居購入後の特定の期間内(猶予期間)にもとの持ち家を売却する前提で、新居のローン審査を行う売却猶予付住み替え住宅ローンとなります。
■売却猶予付住み替え住宅ローンとは
住宅ローンの審査にはローンの返済は年収の何%以内といった基準があります。
今の持ち家のローンに新居のローンをプラスすると、この基準をクリアできなくなり、ローンが組めないケースがあります。
しかし、売却猶予つき住み替え住宅ローンでは、今の持ち家のローンは完済する前提なので、もとの持ち家のローンは審査から除外されます。ただし、持ち家の担保評価(資産価値)も審査に関わります。
新居のローン審査を申し込む段階でまだ持ち家の売却は決まっていないことが多いため、売却金額を仮に不動産業者に直接買い取ってもらう場合の買取金額と同額として計算し、審査を申し込むのが一般的です。
期間内の売却が必須なことや、銀行ごとの異なるルールがあること、売却期間は猶予されていてもローンの支払いは猶予されるとは限らない点に注意が必要です。
メリットとデメリットは以下になります。
- 今の持ち家のローン残債はないものとして審査を受けられる。
- 金融機関によっては、今の持ち家が売れるまで、購入後の新居ローンの支払いを利息払いのみにすることができ、二重の返済の負担が生じない。
- 猶予期間内で必ず持ち家を売却しなければならない。
- 持ち家の担保評価(資産価値)が審査に関わる。
⑤ 売却益でローン完済可能だが、持ち家をいつ売るかわからない状況で新居を購入する場合
もとの持ち家のローンと新居の両方のローンを払い、Wローン(二重ローン)を組むことになります。
この場合の審査は持ち家のローン残高と新居のローンを合わせた額で行われます。
■Wローンとは
いまの持ち家のローンをそのまま残しながら、新たに追加で新居のローンを組むことをいいます。
メリットとデメリットは以下になります。
- 持ち家の売却時期に制限がない。
- ローンを二重に組むため、高収入でないと審査が通らない。
- 月々の返済額が大きくなる。
⑥ 売却益でローン完済不可能で、持ち家の売却と新居の購入を同時にする場合
持ち家の売却と新居の購入(決済)を同じ日にしつつ、持ち家を売却しても返しきれなかったローン残債を含めて新居のローンを組む、売却損乗せ住み替え住宅ローンとなります。
次の点は、売却額でローン完済可能なパターン⑤と共通しています。
- 新居のローン審査を申し込む段階で、まだ持ち家の売却は決まっていないことが多く、
売却金額を仮に買取金額と同額として計算して審査を申し込むのが一般的である - お金が動くタイミングが同時なので、お金の流れに問題がないか確認しておくことが大切である
■売却損乗せ住み替え住宅ローンとは
持ち家を売却しても返せなかったローン残債を含めて組むローンです。
メリットとデメリットは以下になります。
- 持ち家のローン残債も含めて新たにローンを組むことができる。
- 必ず売却と購入が同時でなければならないため、売却時期が限定される。
- 物件の担保価値以上にローンを借りるため、審査は厳しい。
まとめ
今、住んでいる住まいのローンが残っている状態でも、新居に移り住むことは可能です。
売却益で完済できる場合には、もとの持ち家を売却するタイミングや返済能力に応じて、通常の住宅ローンか、売却猶予付き住み替え住宅ローンか、Wローンを選ぶことができます。
その中でもWローンは、金銭的な負担が大きくなりがちなので注意が必要です。
最後になりますが、不動産の売買は一生に何度もするものではありませんので、情報を集めて検討をするのはなかなか難しいかと思います。
当社リビングライフは創業30年、不動産売買のプロです。また、FP相談なども適宜行っており、最適なローンのプランも含めてご案内致しますので是非お問い合わせ下さい。